4月11日配信号外「泉美木蘭のトンデモ見聞録」より
「平沼赳夫・安倍晋三・森友学園は同じ“愛国教育”のムジナだ!」
「平沼赳夫・安倍晋三・森友学園は同じ“愛国教育”のムジナだ!」
今月上旬、森友学園の小学校建設計画に関して、大阪府が「申請に関して政治家サイドから問い合わせがあった事例が4件あった」と明らかにした。いつのまにかこの話は流されてしまったが、それで良いのか?
4月11日配信のライジング「トンデモ見聞録」より、一部抜粋して掲載する。
4月11日配信のライジング「トンデモ見聞録」より、一部抜粋して掲載する。
***
大阪府が公表した4件の問い合わせのうち、問題視されるのは、学園に対する府の職員の対応にクレームをつけた現職の国会議員、自民党・平沼赳夫衆議院議員である。
平沼赳夫と言えば……
「安倍首相、ガンバレ」の学校建設のため、「籠池先生、ガンバレ」とメッセージを寄せる平沼さん
衆議院議員 平沼 赳夫 先生籠池先生、頑張れ。小学校の教育、これは本当に大切です。幼児教育で大変な実績を挙げられた塚本幼稚園の籠池先生が、此度小学校を建設されることになり、日本にとってこれ程の朗報はありません。大成功を衷心よりお祈り申し上げます。
平沼赳夫と言えば、安倍晋三記念小学校の寄附金振り込み用紙とともに配布されたしおりに「籠池先生、がんばれ」という力強いメッセージを寄せ、当初昭恵夫人が名誉校長として掲載されていた学園のパンフレットやホームページにも勇ましいキメ顔で登場している人物だ。
大阪府の担当課長によると、森友学園が府に認可申請を出すよりも前に、平沼議員から府に連絡があり、「森友学園への『職員の対応が悪い』という趣旨のクレームがあった」という。
学園が小学校認可申請を提出したのは2014年10月31日だから、その前と言えば、鴻池議員への接触があって、財務局と大阪府の押し問答がはじまり、認可申請を巡って籠池氏と担当課が
「ニワトリ(土地取得)が先か、タマゴ(認可)が先か」
でもめていた時期でもある。そこへ平沼赳夫が割り入って、大阪府側に圧力をかけたのだ!
「ニワトリ(土地取得)が先か、タマゴ(認可)が先か」
でもめていた時期でもある。そこへ平沼赳夫が割り入って、大阪府側に圧力をかけたのだ!
平沼赳夫は、2014年7月までは、日本維新の会の国会議員団代表でもあった。すでに大阪ダブル選挙を制した橋下維新が、松井一郎府知事らとともに牛耳っている状態。平沼赳夫は、府の職員からすれば超有力な大物政治家である。
平沼赳夫の問い合わせが、森友学園の認可答申に大きな影響を与えたことは簡単に想像がつく。
◆教育基本法改正…“愛国教育”の果て
森友学園は、新理事長に就任した籠池町浪氏による新体制声明文のなかで、学園が愛国教育に舵を切ったのは、「第一次安倍政権時代の教育基本法改正の結果だ」と説明している。
(愛国教育、教育勅語暗唱など指摘を受け、社会問題化したことについて)これらはすべて、教育基本法が平成18(2006)年に改正された際に新たに設定された「我が国と郷土を愛する態度を養う」との教育目標を、幼児教育の現場で生かそうとした前理事長なりの努力と工夫の結果であると理解しております。(2017年3月30日森友学園新理事長からの声明文)
2006年12月16日「毎日新聞」朝刊
それまでは先代の森友寛氏が60年近く培ってきた幼児教育の方針を引き継いでおり、ちびっこ相撲や幼児ラグビーなどユニークな情操教育を取り入れ、2003年には、籠池のおばはんが「大っ嫌いや!」と言っていた朝日新聞にも取り上げられるような普通の幼稚園だった。教育勅語の暗唱もやっていないし、「安倍首相ガンバレ!」なんていう宣誓もしていなかったのだ。
籠池理事長本人も、『週刊文春』の独占インタビューで、安倍晋三に心酔したきっかけについて、こう語っている。
「うん、それはね、第一次安倍政権の時にされた教育基本法改正に結びついていきますかね。美しい日本を復活させようという思いに、心から共鳴いたしたということですね」(週刊文春2017年3月30日号・「籠池独白」より)
この当時の衆議院における教育基本法に関する国会答弁記録を調べてみた。すると、安倍首相が力いっぱいこのようなことを述べている。
「この教育基本法の中には、日本の文化や伝統を尊重するということをしっかりと書き込んでいるわけでありまして、それらをはぐくんできた我が国や郷土を愛する、そういう気持ちを持つことの重要性についても書いてあるわけであります」「規範意識、そして道徳等も、その重要性について書いてあるわけでありまして、いずれも、今後二十一世紀、日本人が美しい、人間として生きていくために必要な項目が書いてあるのではないか、このように思うわけでございます」「私が目指す美しい国づくりにおいては、何といっても教育がすべての基本であろう、このように思います。その中においても、まずはこの教育基本法を改正し、成立させる、それが第一歩ではないか、このように思います」(平成18年12月13日、第165回国会 教育基本法に関する特別委員会にて安倍晋三)
いまこの答弁を読むと、安倍晋三がいかに歴史的な大罪を犯したかに気付かされる。
首相が「日本人が美しい人間として生きていくために」とか「私が目指す美しい国づくり」なんてことを声を大にして言いまくり、ネット社会の闇と融和していくようなやり方をとったからこそ、排外主義、選民思想、純血思想の人間らが自信を持って「韓国人は出て行けー!」「殺せー!」などと叫び路上を練り歩くという状況が生み出されたのではないか?
ネトウヨの現人神である籠池夫妻にしてもこう思っただろう。
「これから吹く風は、やはり愛国心だ。日本人が美しい、美しい国づくり。安倍さんの方針に従って、自信を持って愛国教育を加速させてゆけば、小学校建設も夢じゃないぞ!」
……と。
「これから吹く風は、やはり愛国心だ。日本人が美しい、美しい国づくり。安倍さんの方針に従って、自信を持って愛国教育を加速させてゆけば、小学校建設も夢じゃないぞ!」
……と。
さらにこの前後の議事録を読み込んでいくと、まさに今回、森友学園に肩入れし、大阪府に圧力をかけた平沼赳夫が、教育基本法改正の一連の議論において、中心的な役割を果たしていたこともわかった。
改正法案に関して、安倍首相に対する積極的な質問を行っているのだ。
改正法案に関して、安倍首相に対する積極的な質問を行っているのだ。
「初等中等教育において国を愛する心を養う教育が行われると考えてよいか」「『国を愛する心』、『国を愛する態度』の教育について、指導資料を文部科学省で作成する考えはあるのか」
「『国を愛する態度』の評価方法を政府はどのように示す方針なのか」
「法案では『豊かな情操と道徳心』が規定されているが、このなかには『宗教的情操』の概念も含まれるのか。政府はこれまで『心と態度は一体』と答弁しているから、『宗教的態度』を養う際も、心、情操が一体となって指導されるものと理解してよいのか」
参考:平沼赳夫による「教育基本法案に関する質問主意書」
この平沼の質問要約を読むだけでも、塚本幼稚園の園児たちの姿、小学校建設予定地に残された、造りかけの神殿の土台の映像などが頭に浮かんでくる。
安倍首相は、この平沼の質問に「ああそうだ、そうだとも。いい質問だよね、そうそう。これから具体的に愛国心や道徳心の評価について検討して指導していくからね!」という旨の答弁をしていくことによって、肉付けが行われ、改正教育基本法は成立したのであった。
参考:安倍晋三による「平沼赳夫君提出教育基本法案に関する質問に対する答弁書」
当時、平沼は、自身のホーム―ページ上でも教育基本法改正に向けた動画メッセージを公開しており、
「アメリカの占領政策の中でGHQから押し付けられた日本国憲法、これと一体のものとして教育基本法も制定された」
「憲法と同じ次元で教育基本法を見直すべき」
「愛国心という言葉で、日本が軍国化するという考え方は飛躍している」
などと語っている。
「アメリカの占領政策の中でGHQから押し付けられた日本国憲法、これと一体のものとして教育基本法も制定された」
「憲法と同じ次元で教育基本法を見直すべき」
「愛国心という言葉で、日本が軍国化するという考え方は飛躍している」
などと語っている。
大物政治家の顔の広さが全面に表現された動画。
「GHQの押しつけ憲法、押しつけ教育基本法を見直す!」
「GHQの押しつけ憲法、押しつけ教育基本法を見直す!」
動画のなかで、平沼は「日本の歴史、守るべき伝統、家族の絆、祖国を大切に愛するところが欠落している」「個人の尊厳が強調されたため、行き過ぎて、個性や意欲が伸ばされなくなった」と指摘。
しかし実際には、時代の流れ、近代化、合理化による共同体の崩壊や、それを保護しようとしてこなかった数々の政策、そして否応なく変化していった家族形態の崩壊などによる影響が大きいという視点が必要だったのではないか?
そこを見ずに、ただただ「愛国心」「家族の絆」だけを守れと押しつけてゆけば、教育勅語を暗唱する園児を見てなんの疑問も持たずに感激してしまうアナクロ極右となり、「安倍首相ガンバレ!」「安保法制国会通過良かったです!」へと発展し、個性は失われ、ただの権力者愛撫マシーンでしかなくなってしまうのだ。
森友学園・塚本幼稚園は、“特異な極右”の籠池氏だけの問題ではない。
あの異常な愛国教育を生み出したのは、ほかならぬ安倍晋三であり、その教育方針を具体化させるために活躍した平沼赳夫、鴻池祥肇ら国会議員たちが存在し、そして盛り立てるべく講演を行ってきたアナクロ愛国カルト連中、それらを中和するような “ゆるふわ広告塔”として顔を効かせた安倍昭恵の存在があるのだ。